SAP認定試験対策_SD-1

【SAP認定試験対策(SD-1)】販売伝票の基礎知識を徹底解説!

SAP SAP認定試験対策_SD-1

おつかれさまです、猫田です。

SAP認定試験「SAP S/4HANA Sales(SD)」対策を全10回に分けて解説しています。

今回はこちらの内容です!
【SD-1】販売伝票の基礎知識

>他の回はこちらから。

「SD-1販売伝票の基礎知識」では、以下のテーマについて解説しています。

・販売伝票ヘッダ
・販売伝票明細
・販売伝票の納入日程カテゴリ
・販売契約
・現金販売と緊急発注
・受注理由と拒否理由

認定試験対策をテーマにしてはいますが、ITコンサル初心者・SAP導入PJ担当者の方に役立つ基礎知識を解説していますので是非ご覧ください!

では、いきます!

販売伝票ヘッダ

受注伝票を始め、引合伝票・見積伝票・デビットメモ依頼・クレジットメモ依頼などを指す「販売伝票」は、ヘッダ・明細・納入日程カテゴリの3つの構成要素からなります。

まずは「ヘッダ」から解説します。
販売伝票明細は、販売伝票全体に共通する情報を管理するオブジェクトです。
販売伝票中のオブジェクトが「ヘッダ」、それを制御する設定が「販売伝票タイプ」です。

販売伝票ヘッダで制御する項目

販売伝票ヘッダでは以下の項目を制御します。
認定試験対策としては、以下の項目を暗記する必要はありませんが、項目名を出されたときにヘッダで制御しているのか、明細や納入日程行で制御しているのか、を判断できる必要があります。

表1. 販売伝票ヘッダで制御する代表的な項目

項目内容
販売エリア
取引可能な販売エリアを指定することができます
番号範囲
販売伝票の番号範囲と採番方法を指定します
後続の出荷タイプ
販売伝票を参照して登録される出荷伝票を指定します
後続の請求タイプ
販売伝票を参照して登録される請求伝票を指定します
後続処理のブロック
出荷ブロック、請求ブロックのデフォルト値を指定できます
取引先決定表
定義した取引先決定表を割り当てます
価格決定表
定義した価格決定表を割り当てます
不完全決定表
定義した不完全決定表を割り当てます
出力決定表
定義した出力決定表を割り当てます

その他にも、「得意先品目情報マスタの読み込み有無」、「与信限度をチェックするかどうか」「出荷計画をするかどうか」といった内容も制御します。

代表的な制御項目は上記の通りですが、認定試験で重要なポイントがもう一点あります。
それは「製品部門が異なる複数の品目を一つの販売伝票に登録できるようにする設定」です。

販売伝票は1つの販売エリア(販売組織・製品部門・流通チャネル)に割り当てられます。しかし、以下の設定を行うことで、ヘッダデータと異なる製品部門の品目も登録できるようになります。
①ビジネスデータのヘッダ・明細の整合性チェック
②明細レベルの製品部門が品目マスタからコピーされるか、伝票ヘッダの製品部門も明細に関連するか

販売伝票タイプの代表例

代表的な販売伝票タイプには以下があります。
認定試験にでることは少ないものの、最低限覚えておきたいものばかりですのでこの機会に覚えておきましょう。

表2. 代表的な販売伝票タイプ

伝票タイプ名称特徴
IN
引合伝票引合伝票を使用する際に使用します
QT
見積伝票見積伝票を使用する際に使用します
OR
標準受注通常の受注伝票で使用します
RE
返品返品入庫する際に使用します
CR
クレジットメモ依頼売掛金のマイナス修正します
DR
デビットメモ依頼売掛金のプラス修正します

認定試験対策としては、以下の無償出荷用の伝票タイプを覚えておきましょう。
違いとしては、継続無償出荷(SD)はいずれかの伝票を必ず参照して登録しなくてはいけないように設定されている点が重要です。
・無償出荷(FD)…得意先にサンプルなどを送る場合に使用
・継続無償出荷(SD)…クレームのあった受注に対して品目の出荷があった場合

販売伝票明細

続いて、「ヘッダ・明細・納入日程行」の「明細」についてです。
販売伝票明細は、受注のあった品目単位の情報を管理するオブジェクトです。
販売伝票中のオブジェクトが「明細」、それを制御する設定が「明細カテゴリ」です。

制御する項目

販売伝票明細では以下の項目を管理します。
認定試験対策としては、以下の項目を暗記する必要はありませんが、項目名を出されたときに明細で制御しているのか、ヘッダや納入日程行で制御しているのか、を判断できる必要があります。

表3. 販売伝票明細で制御する代表的な項目

項目内容
価格設定
価格設定を行うかどうか
納入日程行
納入日程行の有無を指定
後続プロセス
その伝票の後続が出荷になるか、請求になるか
出荷設定
汎用在庫から出荷するか、受注在庫から出荷するか 受注生産品の場合は受注在庫から出荷する必要があります。
請求設定
請求処理の実施有無や請求方法の設定 受注関連請求か出荷関連請求か
後続処理のブロック
請求ブロック
不完全決定表
不完全決定表を割り当てる

また、認定試験対策として、支払条件などの“ビジネスデータ”がヘッダと異なっても問題ないかを設定する項目(整合性チェック)が明細レベルで制御されることを覚えておくことが重要です。

明細カテゴリの代表例

代表的な明細カテゴリには以下があります。

表4. 明細カテゴリの代表例

明細カテゴリ名称特徴
TAN
標準受注明細スタンダードな物品販売の明細
TANN
無償出荷明細価格設定がされない
TAS
仕入先直送購買依頼が生成される(物は仕入先→得意先)
TAB
個別購買発注購買依頼が生成される(物は仕入先→自社)
TAD
サービス明細受注参照で請求(出荷を伴わない)

認定試験対策だけでなく、通常業務のためにも、どのような特徴を持つ明細カテゴリがあるのかを覚えておくことをおすすめします!

販売伝票の納入日程カテゴリ

続いて、「ヘッダ・明細・納入日程行」の「納入日程行」についてです。
納入日程行は納期ごとの情報を管理するオブジェクトです。
販売伝票中のオブジェクトが「納入日程行」、それを制御する設定が「納入日程カテゴリ」です。

制御する項目

納入日程行では以下の項目を制御します。
認定試験対策としては、以下の項目を暗記する必要はありませんが、項目名を出されたときに納入日程行で制御しているのか、ヘッダや明細で制御しているのか、を判断できる必要があります。

表5. 納入日程行が制御する代表的な項目

項目内容
出荷関連区分
出荷ブロックの有無を設定します
移動タイプ
出荷時の移動タイプを制御します
所要量転送
入出庫予定に加えるかどうかを制御します
利用可能在庫確認
利用可能在庫確認をして在庫の引き当てをするか制御します
発注関連設定
受注に紐づく購買発注タイプや発注明細カテゴリ、感情設定カテゴリを制御します。個別購買発注や仕入先直送で使用します
不完全決定表
定義した不完全決定表を割り当てます

納入日程カテゴリの代表例

代表的な納入日程カテゴリには以下があります。

表6. 代表的な納入日程カテゴリ

納入日程カテゴリ名称特徴
CP
受注納入日程 (MRPあり)標準受注で使用します 利用可能在庫確認は行いません
CV
受注納入日程 (消費主導型MRP)標準受注で使用します 利用可能在庫確認を行います
AT
引合納入日程引合伝票を使用する場合に使用します
BN
見積納入日程見積伝票を使用する場合に使用します
DN
返品納入日程 (MRPなし)返品入庫する場合に使用します

販売契約

通常業務では引合・見積・受注・出荷・請求よりかなり使用頻度は低い傾向にある「販売契約」ですが、認定試験ではかなりの割合で出題される内容となっています。

販売契約は、その名の通り契約を管理するためのオブジェクトですが、「契約伝票→受注伝票→出荷伝票」や「契約伝票→出荷伝票」、「契約伝票→請求伝票」など様々な業務フローに使用することができるオブジェクトとなっています。

契約伝票の仕様方法を知っているか否かで提案できるソリューションの幅がグッとひろがりますので、認定試験のためだけでなく実践のために是非覚えておきましょう。

SAPにおける契約伝票は、分納契約、数量契約、金額契約、レンタル契約などがあります。
まずは大きく「分納契約」と「基本契約」の二つに分けることができるので、その分類で以下に解説をします。

分納契約

期間内に複数回に分けて商品を納入する契約です。
言い換えると、“納期”と“数量”を定める契約です。

分納契約の納入日程行に納入日付をマニュアルで指定。

指定納入期日に到達すると出荷伝票を登録。

つまり、分納契約は出荷伝票の登録によってリリースされます。契約伝票では、目標数量・出荷済み数量・未処理数量を把握することができます。

基本契約

一定期間だけ有効な契約です。基本契約を参照して、受注伝票を登録していきます。
つまり、基本契約は受注伝票によりリリースされます。

契約伝票では、数量・金額が更新され、把握することができます。
基本契約は以下の通りさらに、「数量契約」「金額契約」「レンタル契約」に細分化されます。

数量契約

顧客が特定の期間中に、指定した数量の製品・サービスを注文できるようにする契約です。
契約伝票には、目標数量と価格等の情報が登録されていますが、納期に関する情報は管理されません。契約伝票を参照して受注伝票を登録することで、受注済み数量が契約伝票に反映されるようになっています。

金額契約

顧客が特定の期間中に、設定した金額までの製品・サービスを注文できるようにする契約です。契約伝票を参照して受注伝票を登録することで、受注済みの金額が契約伝票に反映されるようになっています。
なお金額契約では、品目階層や品揃えモジュールによって受注できる製品を制限できるという特徴があります。

レンタル契約(サービス契約)

レンタル契約は数量契約や金額契約とは少し毛色が異なり、契約伝票を参照して受注伝票を登録することはしません。カスタマーサービス(CS)モジュールで使用されるオブジェクトであるため、定期的なサービスをコールして作業の管理を行います。なお、請求に関しては契約伝票に設定した請求計画から定期的な請求を行います。

現金販売と緊急発注

続いて、販売伝票を用いた特殊プロセスへの対応について、「現金販売」と「緊急発注」を解説します。
現金販売と緊急発注は、得意先が倉庫で直接品目を引き取る場合、得意先に即座に品目を手渡しする場合、の販売プロセスであり、専用の販売伝票タイプが用意されています。二つに共通する特徴として、販売伝票タイプに「即時出荷」が設定されていること、それにより出荷伝票が自動的に登録されること、が重要です。

現金販売

現金販売は、商品の引き渡しと代金の受け取りが即座に行われるケースで使用される、プロセスおよび販売伝票タイプを指します。

<現金販売の流れ>

販売伝票
└販売伝票タイプ:BV(現金販売)
販売伝票タイプBVは、「即時出荷」「出荷タイプ:BV」「出力タイプ:RD03(→請求書を印刷)」などが設定されている点が特徴です。

出荷伝票
└伝票タイプ:BV
※受注伝票登録時に自動的に登録されます。
なお、品目を払い出した後でピッキングと出庫転記を行います。

請求伝票
└請求タイプ:BV
※請求処理時に請求書の印刷は行われません。

緊急発注

緊急発注は、その名の通り緊急で受注・出荷処理を行わなくてはいけないケースに使用されるプロセスおよび販売伝票タイプを指します。

<緊急発注の流れ>

販売伝票
└伝票タイプ:SO(緊急発注)
販売伝票タイプSOは、「即時出荷」「出荷タイプ:LF」などが設定されている点が特徴です。現金販売と似ていますが、緊急発注の場合は請求は通常通り後から行うため、受注登録時に請求書を出力するようにはなっていません。

出荷伝票
└伝票タイプ:LF
※受注登録時に自動的に登録されます。
なお、品目を払い出した後にピッキングと出庫転記を行います。

請求伝票

└請求タイプ:
※請求書が印刷される

拒否理由

これまで解説してきたオブジェクトと比べてやや小さい範囲になりますが、“拒否理由”の管理も重要です。

販売伝票を後続処理しないようにするため“拒否理由”を使用することができます。
また、選択できる拒否理由は事前に設定する必要があります。

この「選択できる拒否理由」は事前に定義しておくことができるのですが、これをどの範囲で切り分けて管理することができるのか、が認定試験において問われます。

結論、「販売伝票タイプ」または「販売組織」に対して、選択可能な拒否理由を割り当てることで行います。そのため、明細ごとの制御はできず、販売伝票ヘッダレベルでの制御となります。

まとめ

SAP認定試験「SAP S/4HANA Sales(SD)」対策「販売伝票の基礎知識」では、以下のテーマについて解説しました。

・販売伝票ヘッダ
・販売伝票明細
・販売伝票の納入日程カテゴリ
・販売契約
・現金販売と緊急発注
・拒否理由

SAP認定試験「SAP S/4HANA Sales(SD)」は全10回で解説しています。
是非他の記事もご覧ください!

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